今日は床下に湿気が多いとなぜいけないのか説明します。
我々が床下を点検する際、白蟻(シロアリ)被害の有無や木材の腐朽、基礎コンクリートのひび割れに関することはもちろんですが、床下がベタ基礎ではなく土壌の場合、特に湿気の多い少ないを気にしながら点検します。
それは、床下に湿気が多い場合、点検時に何の被害がなくても将来的に様々な問題が生じる可能性が非常に高いからです。
では、床下に湿気が多いと生じる様々な問題について、データや数値を用いるとわかりにくくなってしまうので、わかりやすいよう簡単に説明します。
1.床下の湿気により腐朽菌やカビ菌の発生
木材腐朽菌やカビについて
雨で濡れたり、湿気を多く含んだ木などが腐ると皆さんは表現しますが、それこそ木材腐朽菌が引き起こす現象です。
木材腐朽菌は胞子が湿気を多く含んだ木に定着し木の成分を栄養源として成長します。実はシイタケなど皆さんが良く知っているキノコも腐朽菌の一種です。
床下で木材腐朽菌が発生すると木を腐らせ木材の耐久性を著しく低下させてしまします。
腐朽菌によって弱った木はシロアリにとっても格好の食害の対象になってしまい、木材の耐久性が低下するという事は大きな地震があった場合倒壊するリスクが高くなってしまいます。
阪神淡路大震災で全壊した木造家屋の80%以上にシロアリや腐朽菌の被害があったそうです。
以前までは、こういった腐朽菌の対策として防腐防カビ剤の散布などのご依頼をいただいておりましたが、近年は、花粉症などアレルギー体質の方が増えたせいか、アレルゲンであるカビ菌の対策として防腐防カビ剤の散布のご依頼をいただくことが増えてきました。
アレルギーは、花粉、ダニの死骸、ハウスダストなどを思い浮かべる人が多いですが、実は床下のカビが原因であることも多いのです。
なので、家の寿命を縮めてしまう腐朽菌やアレルギーの原因でもあるカビ菌を発生させない為にも床下の湿気対策は非常に大切です。
木材腐朽菌やカビ菌対策に有効な作業
腐朽菌やカビ菌の消毒や殺菌工事
・防腐防カビ剤の散布
腐朽菌やカビ菌を繁殖させない為の床下の湿気対策工事
・調湿剤の散布
・竹炭マット
・攪拌型換気扇
・排気型換気扇
2.床下の湿気によりシロアリの発生
シロアリの種類
日本国内で確認されているシロアリは、大きく分けてヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリで、ヤマトシロアリは日本全国どこの土壌にも存在し、イエシロアリは昔は沖縄や九州で生息が確認されていましたが最近では温暖化の影響なのか太平洋沿岸を北上し関東沿岸にまで生息域が広がってきています。アメリカカンザイシロアリは名の通りアメリカ原産のシロアリですが、輸入家具や木材にと一緒に運ばれてきて被害が出る事があります。
特に被害の多いヤマトシロアリ、イエシロアリと床下の湿気は密接な関係があります。
湿気とシロアリの関係
日本国内ではヤマトシロアリの被害が多いですが、一般的に床下の土壌から蟻道と呼ばれる土の筋のようなものを作り木材に到達し食害を広げます。
また、ヤマトシロアリは水分を自ら運ぶことができない為、土壌から1メートルの高さまでの範囲に被害が集中します。ただし、雨漏れなどがあると2階付近まで被害が及ぶこともあります。
イエシロアリは、ヤマトシロアリと違い自ら水を運ぶことができ、巣の規模も大きい為家屋全体に被害が及んでしまうこともあります。
ヤマトシロアリ、イエシロアリに共通することは水、つまり湿気が原因で被害が出てしまいます。
湿気によって柔らかくなった木材や腐朽菌によって弱った木材を好んで食害が広がりますので、そんなシロアリの食害から家を守るためには、シロアリが生息しにくい環境を整える必要があり、その床下の環境改善の方法としてまずは、床下の湿気を少なくすることが重要です。
シロアリの駆除・予防に有効な工事
・シロアリ用薬剤の散布
シロアリを発生させない為の工事
・防腐防カビ剤の散布
・調湿剤の散布
・竹炭マット
・攪拌型換気扇
・排気型換気扇
3.床下の湿気により基礎コンクリートの劣化
↑床下の湿気が非常に多く、中性化、アルカリ骨材反応による劣化が進み鉄筋が錆びたことによって膨張し、鉄筋コンクリートが爆裂してしまった。
基礎コンクリートの中性化やアルカリ骨材反応などによる劣化
一般的な戸建て住宅にはコンクリートの基礎がありますが、その中には基礎の強度を上げることを目的として鉄筋が入っています。
元々コンクリートの材料であるセメントはアルカリ性なのですが経年劣化によりセメントの成分が空気に触れる事により表面から徐々にアルカリ性から酸性に傾いていきます。これをコンクリートの中性化というのですが、コンクリートの中性化することで強度が少しずつ落ちていってしまうのです。
コンクリートの表面が白くなったり、表面を手で払うだけで粉が落ちてしまうのをよく見かけますが、それはコンクリートの中性化している証です。
ただ、表面から徐々に中性化するのはコンクリートの性質上仕方ない部分もあり、基礎コンクリートの強度として大きな心配があるわけではありません。
どういう場合に問題があるかというと、基礎コンクリートにひび割れがあり、コンクリート内の鉄筋が錆びてしまう場合です。
コンクリートは前述の通り、空気に触れている部分から中性化が進行しますが、ひび割れによって中に雨などで水分が入ったり、空気に触れることで入っている鉄筋付近まで中性化が進むとアルカリ性の膜で保護されていて錆が発生していなかった中の鉄筋が次第に錆びてしまいます。
錆びは鉄筋を膨張させ、コンクリートにひび割れを生じさせ、場合によっては膨張した鉄筋は上記写真のようにコンクリートを爆裂させる。
更に他の箇所の中性化が劇的に進行する事を繰り返す、といったように負のスパイラルに突入してしまうのです。
中性化やアルカリ骨材反応などの劣化現象、ひび割れや鉄筋の爆裂により基礎コンクリートの強度が落ちてしまうと地震の際に元々のひび割れがさらに広がってしまったり、新たにひび割れが発生したりするなど様々な問題が出てしまいます。
このような基礎コンクリートの劣化は雨などの暴露により進行しますが、床下の湿気が多いと更に進行しやすくなります。
劣化した基礎コンクリートの改修工事
・基礎コンクリートのひび割れ補修
・アラミド繊維シートによる連続繊維工法を用いた基礎コンクリート補強工事
基礎コンクリートの劣化を防ぐ工事
・調湿剤の散布
・竹炭マット
・攪拌型換気扇
・排気型換気扇
まとめ
普段目に見えない床下の湿気は、上記のように家屋にとって様々な問題を生じさせてしまいます。
目に見えない床下を気にする機会は少ないかもしれませんが大切な家屋を長持ちさせるためには、床下の環境改善が非常に大切です。
シロクリーンでは、そんな床下の環境改善の為、日々の点検にとても力を入れて活動しております。
大切な家を長持ちさせるためにも、お知り合いの工務店さんでも、付き合いのある床下工事業者さんでも、もちろんシロクリーンでもかまいません、一度床下の点検をされてみてはいかがでしょうか?
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