ここ最近、茨城、千葉県付近、長野や岐阜県、その他全国で地震が頻発しています。これだけ全国で地震が頻発するのも珍しく、各メディアも普段取り上げないような小さな地震でも記事になっているのが目に付くようになりました。
いま全世界を取り巻くコロナウイルス感染症の大きな影響下で自然災害に見舞われ避難所へ行くことを想定するとかなり大きな困難が予想されますし、地震をはじめとした自然災害に対する危機感が記事という形で表れているのかもしれませんね。
我々のような、床下工事の業界の中でも変化は起きていて、一昔前までは床下工事といえばシロアリ一辺倒で床下の関心を持つ方はほとんど居ませんでしたが、基礎の補強工事やアレルゲン物質軽減の為の防腐防カビ工事など、消費者からのリクエストで依頼をいただくことが増え、ほんの少しずつですが床下をしっかりメンテナンスをさせて頂く事の大切さが広まってきているのかなと実感してます。
我々にできること
まず、地震への備えとして我々がお手伝いできることは、大きく二つそれは
・布基礎やベタ基礎の補修や補強
・基礎と建物を固定するホールダウン金物の取り付け
かなと思います。
もちろん、阪神淡路大震災で全壊した木造住宅の90%にシロアリの被害、木材腐朽菌の繁殖(木が腐る)の両方もしくはいづれか一方の被害があったとのデータもありますし、木造家屋の劣化を抑制する効果もあるのでシロアリ対策やカビ・腐朽菌対策も大切ではありますが、今回は地震対策として直接的に効果のある基礎補強とホールダウン金物の取り付けについて書きたいなと思います。
まず、地震の時どんなことが一番嫌か、それは家屋がつぶれ家族に被害が出る事かなと思います。
阪神淡路大震災や北海道や熊本の地震で被害にあわれた方の多くは圧死でした。またそのほとんどが2階部分が1階部分をつぶすような倒壊の被害でした。
そういった1階部分がつぶれ倒壊するのはなぜか、多くは家屋を支えている基礎コンクリートが割れて崩れたりすることによるもの、直下型の縦揺れにより土台から抜ける(ホゾ抜け)ことによるものなんです。
昭和56年以前の建物は基礎コンクリートの中に鉄筋が入っていないものが多く、直下型の地震ではそういった建物の多くが被害を受けますし、北海道や熊本の直下型の地震では規制されていなかった木造2階建ての住宅でもホールダウン金物の取り付けが義務化されていましたが、基準を満たした家屋でも基礎が崩れるなどで倒壊するケースもありました。
基礎の補強がなぜ必要か
弊社で実施している基礎補強は、高速道路や新幹線など橋脚や橋の補強工事でも採用されている工法で、鉄の5倍の強度をもつアラミド繊維シートを最強の接着剤と言われるエポキシ樹脂で挟み込むように基礎コンクリートに貼り付けます。
すごく軽量で強靭なアラミド繊維をものすごく強い接着剤で基礎の張り付ける!簡単に言うとそんな感じですね☆
折曲げ試験のデータでは、無筋コンクリートを①とすると・・・
※ ちなみに鉄筋コンクリートは無筋のコンクリートと比較すると約2倍の強度です。
アラミド繊維貼り付けを片面に施工すると約1.8倍
両面に施工すると3.6倍の強度になります。
このように施工することで、コンクリートの劣化を抑制し、更に強度が増すことで、地震の際に建物の倒壊の原因となる基礎の崩壊や崩れを防ぐことにつながります。
大きな地震により建物そのものに住めなくなるようなダメージを受けることもありますが、基礎の補強をおこなう事で最低限家屋の倒壊を防ぎ、家族を守ることにつながるのではないかそう考えて日頃からお客様とはお話をするよう心掛けています。
ホールダウン金物の取り付けにはどんな効果があるのか
基礎の崩れの他に、建物が倒壊する理由・・・
柱のホゾ抜け
といわれる現象で、簡単に言うと土台に刺さっている家屋にとって重要な柱が抜けてしまう現象の事を言います。
少し掘り下げて説明すると、基礎コンクリートの上に土台と呼ばれる太い角材がボルトによって固定されていて、土台には縦に延びる柱が刺さっているのですが、その柱が土台から何らかの理由により抜けてしまうことをホゾ抜けというのですが、その何らかの理由のほとんどが地震です。
比較的柔軟性のある木造家屋は横揺れには強い傾向にありますが、直下型地震の縦揺れの場合は建物自体が跳ねてしまい、建物が基礎から離れる方向に力が働きホゾ抜けが起きやすくなります。
基礎が崩れなかったとしても激しい揺れによりホゾ抜けが起きると倒壊してしまうこともあるので、それを防ぐため後付けのホールダウン金物の取り付けを私はおススメしています。
一般的に耐震工事とは屋根や壁など、建物を全体的に改修が必要なことが多く、そのような場合その費用も莫大な金額になりますが、基礎の補強やホールダウン金物の取り付けは大幅な耐震改修工事に比べると、短期間で低コストに抑えることが出来ます。
もちろん、自然災害が相手なので絶対はありません。僕自身絶対という言葉を使って話をした事は一度もありません、しかし、基礎の補強やホールダウン金物の取り付けをおこなう事で命を守ることにつながると考えています。
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